使用前自主検査の検査項目
- 外観検査
- 接地抵抗測定
- 絶縁抵抗測定
- 絶縁耐力試験
- 保護装置試験
- 遮断器関係試験
- 負荷試験(出力試験)
- 騒音測定
- 振動測定
4.絶縁耐力試験
絶縁耐力試験については次の注意が必要である。
(1)電源及び使用電線について
絶縁耐力試験を円滑に行うための試験用電源は、電源容量が十分で、電圧変動の少ないよう注意すること。特に工事用電力を電源とする場合、溶接機の使用と重なると電圧変動が著しいため試験に支障をきたすのでこの安定をはかるような処置をとっておくこと。
また、電線には適当な太さのものを使用し、電圧降下、過大電流による電線被覆の損傷により試験に支障のないように注意すること。(2)試験用変圧器
試験電圧を大きく超えるようなものでなく、適当な電圧を出せるものであること。例えば1次電圧100ボルト/200ボルトで2次電圧5万ボルト又は10万 ボルトの試験用変圧器で3,000ボルトの電気工作物の試験を行うと電源電圧の変動による影響が大きいので、この場合6,000ボルト又は1万ボルト位の電圧を出せるものを準備すること。変圧器容量が十分な大きさのものであること。変圧器容量が小さく何回も分割して行うようなことでは、時間的にも無駄であるので、適当な容量のものを使用すること。例えば高圧電気工作物については適当な試験用変圧器がない場合、柱上変圧器の適当な容量のものを使用するなど配慮すること。
(3)電圧調整器
上記試験用変圧器に見合う適当な容量のものを組み合わせる必要があるが、小容量のスライダックのため試験を何回も分割しなければならないときは、水抵抗を使用するなど適宜処置をとること。(4)計器
電圧計、電流計は上記変圧器や充電電流、漏洩電流からみて、適当な目盛りのもので精密級(0.5級)のものを選ぶこと。電圧及び電流が計器の測定範囲を超えたり、また測定できない程大きな目盛りの計器を使用しないよう注意すること。また、校正へ記録を残しておくこと。(5)監視
工事終了直後の電気工作物の周辺には、なお他の工事関係者が出入りして、この人達が監視不十分な場合、試験中の電線をくぐり抜けようとして危険なこともあるので、試験開始前に関係者以外の出入りを禁止するための監視人を配置し危険のないよう十分注意すること。(6)検電
試験中に試験電圧に見合う適当な検電器で、試験対象箇所を確認し、試験漏れのないよう注意すること。(7)ケーブルの直流電源による耐圧試験
高圧及び特別高圧ケーブルを使用した電路は直流電源による耐圧試験を行うことができる。この場合の試験電圧は交流試験電圧の2倍の電圧となる。
使用前自主検査をしなくても使用できる設備(高圧受電設備)
電気事業法施行規則 第七十三条の二の二より引用
第七十三条の二の二 法第五十条の二第一項の経済産業省令で定める事業用電気工作物は、次に掲げるもの以外のものとする。
- 一 出力三万キロワット未満であってダムの高さが十五メートル未満の水力発電所(送電電圧十七万ボルト以上の送電線引出口の遮断器(需要設備と電気的に接続するためのものを除く。次号において同じ。)を伴うものにあっては、当該遮断器を除く。)
- 二 内燃力を原動力とする火力発電所(送電電圧十七万ボルト以上の送電線引出口の遮断器を伴うものにあっては、当該遮断器を除く。)
- 三 変更の工事を行う発電所又は変電所に属する電力用コンデンサー
- 四 変更の工事を行う発電所又は変電所に属する分路リアクトル又は限流リアクトル
- 五 非常用予備発電装置
- 六 第六十五条第一項第二号に規定する工事を行う事業用電気工作物
- 七 試験のために使用する事業用電気工作物
使用前自主検査の結果の記録と保存期間
電気事業法施行規則 第七十三条の五 より引用
使用前自主検査の結果の記録は、次に掲げる事項を記載するものとする。
- 一 検査年月日
- 二 検査の対象
- 三 検査の方法
- 四 検査の結果
- 五 検査を実施した者の氏名
- 六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
- 七 検査の実施に係る組織
- 八 検査の実施に係る工程管理
- 九 検査において協力した事業者がある場合には、当該事業者の管理に関する事項
- 十 検査記録の管理に関する事項
- 十一 検査に係る教育訓練に関する事項
2 使用前自主検査の結果の記録は、次に掲げる期間保存するものとする。
一 前項第一号から六号までに掲げる事項
イ 発電用水力設備に係るものは当該設備の存続する期間
ロ イ以外のものは第七十三条の三第三号の工事の工程において行う使用前自主検査を行った後五年間
二 前項第七号から第十一号までに掲げる事項については、使用前自主検査を行った後最初の法第五十条の二第七項の通知を受けるまでの期間
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