地絡継電器
■GRとは?
受電設備内の対地静電容量が小さい(構内の高圧電力ケーブル長が短い)場合に使用する。
もし構内の対地静電容量が大きかった場合、電源側で地絡事故が発生すると、地絡電流の一部が大地を経由し、 構内の対地静電容量に流入し、構内の母線内を通過し、ZCTを通って、構内から構外に流出し、不要動作をしてしまう。
■受電状態でGRのターゲットがついていた場合の処置
機器年数が新しく、SOGの試験結果も良好である場合、継電器試験の戻し忘れと判断する。
復帰しておかないと、次の停電点検までに事故が起きた場合、原因追及の妨げになる。
復帰の際、間違えて押しボタン試験を押してしまうと、LBS等が開放してしまう。
受電できている状態であれば、継電器の誤動作というのは考えにくい。
■停電点検の際の注意
GR+LBS送り先の低圧MCCBをすべて切る。
GR電源が生きているか確認する(ランプ目視・検電等)
GR電源ブレーカー入切にてランプ確認
ランプ確認できない場合、GR電源ブレーカーを切り、動作ボタンを押し、不動作確認
確認後、GR電源ON状態で、動作ボタンを押し、LBS開放。
■電流整定
通常は0.2Aに設定する。
検出感度が良すぎて微弱事故で動作する場合、0.4Aに上げる。
0.6A以上に設定する場合、配電用変電所の保護範囲に接近し、協調がとれなくなる場合がある。
その時は、電力会社と相談する。
構内充電電流が50mA以下:200mA
構内充電電流が50~100mA:400mA
構内充電電流が100mAを超える:600mA
構内のCVケーブル(6kV CVT100sq)が124mの時、
Ig=200mAなので、GR200mA整定で不必要動作をする。
GR方式では、電源側の地絡事故で、もらい動作をする場合がある。
■不必要動作を確実に防止するためには?
充電電流 >= GR感度電流の1/2 の場合、DGRを選ぶ方が良い。
充電電流100mA以上(ケーブルだと60m以上くらい?)でDGRを選ぶ方が良い。
■上記の計算式
6kV-CVT100sq
GR感度電流:200mA
1線の対地静電容量:C[μF]
1心の静電容量:0.45[μF/km]
周波数:f = 50Hz
Ig × 10^-3 = 2πf × 3C × 10^-6 × 6600÷√3
C = 0.0557[μF]
0.0557 / 0.45 = 0.124[km] = 124m
■動作時間
受電設備のGRは、配電用変電所のGRと、協調をとる必要がある。
整定電流値の130%
動作時間:0.1s~0.3s
整定電流値の400%
動作時間:0.1s~0.2s
構内の対地静電容量による充電電流が200mA以上になると、
GR方式では電源側の地絡事故で、もらい動作する場合がある。
■保護協調がとれていない場合
変更前
主変UGS⇒0.2A 0.2秒
2変送りGR⇒0.1A 0.2秒
この場合、保護協調がとれておらず、2変側の地絡で主変UGSが開放する可能性がある。
マンションで主変が住居部、2変が共用部だった場合、共用部の地絡で住居部すべてが停電する事になる。
変更後
主変UGS⇒0.2A 0.6秒
2変送りGR⇒0.2A 0.2秒
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