高調波とは?
「基本波の整数倍の周波数をもつ正弦波」と定義されている電流のひずみのこと。電路や接続機器に悪影響を及ぼす性質がある。
基本波の3倍の周波数を第3高調波、5倍の周波数を第5高調波と呼ぶ。この2つを重点的に確認し、抑制することが高調波対策として有効である。
基本波とは、東日本では50Hz、西日本では60Hzで供給されている電源の周波数のこと。
基本波と高調波の合成
インバータとは?
直流電流を交流電流に変換する回路のこと。家電、エレベーター、工場のコンベアーが急加速・急停止しないよう、モーターの加速など調整する。モーターの速度調整にはインバータ装置が役に立っている。
インバータの役割とは、エアコンを例にすると、室温に合わせて、モーターを高速で回したり、低速にして緩やかにしたりすることで、運転を継続させる。インバータのないエアコンだと、ONとOFFしかできないが、インバータがあることでムダな動きが減らせ、省エネ運転ができる。
高調波を発生する機器とは?
高調波を発生する機器と発生しない機器の違いとは、正弦波電流が流れる機器と、そうでない機器のこと。電源側から見て、正弦波電流が流れる機器を「線形負荷」「非線形負荷」と呼び、「非線形負荷」を使用すると高調波を発生する。
- 線形負荷・・ヒータやモータなどの抵抗やインダクタンスで出来ているもの。
- 非線形負荷・・整流回路を持つインバータや、ダイオードやサイリスタなどの半導体を利用して電子機器を制御しているもの。
スイッチング電源の入力部
電圧は平滑コンデンサにより平滑され、図のような少しギザギザのある平らな波形となる。
拡大図のように、平滑コンデンサ両端の電圧が、入力された全波整流の電圧より低い場合、平滑コンデンサに充電電流が流れる。その時の充電電流は、波形dのような、パルス的な電流が流れる。
EMI除去フィルタとは?
電子機器の電磁ノイズ対策を行うための電子部品で、シールドなどとともに使われる。このフィルタは配線を伝導する電流のうち、電磁ノイズの原因となる成分だけを抽出し、除去する。
電子機器に外部から強力な電磁波が加わると、回路に不要な電流が誘導され、意図しない動作を引き起こす。そのエネルギーが強力なときは、電子機器が破壊されることもある。
放送や通信に使う電波に混入した場合、受信できない、音声に異音が入る、映像が乱れる等のトラブルが出る。このような外部の電磁波による障害を、電磁ノイズ障害と呼ぶ。
高調波が他機器に与える影響
- コンデンサやリアクトルなどの調相設備の振動、うなり、異常過熱
- 電力ヒューズの加熱や溶断
- 通信機器の雑音、映像の乱れ
- 電力量計の計量誤差発生
- 保護継電器の誤動作
- 家電製品の誤作動、不動作、エラー表示
高調波流出電流計算書とは?
自家用電気工作物を設置する際、高調波発生機器を新設・増設・更新する場合、「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」に基づいて、高調波流出電流計算書を記入し、提出する必要がある。
また、受電設備より流出する高調波電流値がガイドラインの上限値を超える場合「高調波電流流出防止対策」をする必要がある。
設置する構内電気設備の種類により、高調波が発生するおそれがあるが、自家用電気工作物の設計段階では機器メーカーなどは決定していないので、施工が進み、メーカー決定した時点で計算書の提示をする。
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