波及事故とは?

スポンサーリンク

波及事故とは?

自家用電気工作物の事故等により、電力会社の配電線のフィーダを停電させ、同一フィーダに接続されている他の電気使用者への電力供給ができなくなる事故のこと。

波及事故を発生させた場合の対応・義務

「電気関係報告規則」により、事故の発生を知ったときから 24 時間以内に速やかに所轄の産業保安監督部に発生の報告(速報)を電話等で行う。

発生を知った日から起算して 30 日以内に定められた様式の「電気事故報告書(詳報)」を文書で提出する。

電気事故報告規則では波及事故の他、電気火災事故、感電等による死傷事故、主要機器等の損壊事故などが電気事故報告の対象となっている。

波及事故の主な原因

波及事故の90%が、主遮断装置の電源側から発生している。
構内1号柱または地中引込用開閉器から主遮断装置の間のケーブル、または主遮断装置本体など。

波及事故の例

  • モールドジスコン2次側からVCB1次側の高圧CVケーブルの劣化による地絡事故
  • PAS2次側からVCB1次側の高圧CVケーブルの劣化による地絡事故
  • VCBやOCBの主遮断装置の劣化による相間短絡事故
  • PAS内部の劣化によりSOG制御装置が働かない事による波及事故
  • PAS内部の劣化によるPAS1次側での相間短絡 or 地絡事故

波及事故になる可能性の高い設備とは?

■責任分界点の区分開閉器にモールドジスコン、ピラージスコンを使用している。
この場合、受電盤までの引き込みケーブル中で地絡や短絡が発生しても無保護状態なので即波及事故となる、もっとも危険な状態。

■PGS(高圧ガス開閉器)を使用している。
PGSは長年の使用でPGS内のガス圧が低下する可能性がある。その場合、ガスによる消弧ができない状態(大気状態)で遮断すると、開放する際に発生するアークを消弧することができず、極間のアークが発生し、相間短絡(三相短絡)に至る可能性がある。

波及事故を防ぐ方法

  • モールドジスコンやピラージスコンの場合、即交換する(危険状態)
  • 耐用年数を大幅に過ぎた設備で、責任分界点の電源側に近い方から順次交換する(区分開閉器とCVケーブルが最優先)
  • その後、耐用年数を大幅に過ぎた電気設備から順次交換する。

波及事故の例:VT内蔵PASのVT焼損による波及事故

当該事業所で停電が発生。
現地確認、PASは投入状態、SOGのDGR動作表示なし。

原因予想
VT内蔵型PASとDGR結合試験のためのトリップコードを、DGR本体のP1・P2電源端子(VT2次側)に接続したクリップを、誤って短絡。短絡電流が発生、VT焼損に至った(VT2次側短絡)

PASに内蔵しているVT容量は25VAと非常に小さい。
0.25A(容量25VA)を超過するとVT焼損に至る。

対策
年次点検におけるDGR-GR継電器試験を行う際は、P1・P2電源端子に試験用コードを一切接続しない。また、継電器からカウンタストップ信号を取得する際は、空き接点(B1,BC)を使用する。

コメント